JLPT N1 文法 ~ばこそ
今日は、理由を強調するための文法「~ばこそ」の意味と使い方を紹介していきます。
よく似ているN3ででてくる文法「~からこそ」も復習しますので、
違いやそれぞれの自然な使い方をおぼえてくださいね。
それではまず「~ばこそ」の接続方法から見て行きます。
動詞のば形+こそ : いる ➡いればこそ する➡すればこそ
い形容詞 ーければこそ : きびしい ➡ きびしければこそ
な形容詞 ーであればこそ: 大変(な)➡大変であればこそ
名詞 ーであればこそ: 初心者 ➡初心者であればこそ
意味は、「~だからそうなる」「Aだから敢えてBする」「BはAの場合だけだ」
基本的には、原因や理由の強調なのですが、
他の文法とちょっと違うところは、
「普通は直接的な理由として考えにくい」ことをとりあげる事です。
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ところで、よく似た意味文法に「~からこそ」がありますね。
これはN3で勉強したと思いますが、
簡単に「~ばこそ」との使い分けについて確認しましょう。
「~からこそ」も理由や原因の強調です。
理由はまさにそれである。その理由や原因は特別だ。
つまり、それ以外の理由や原因ではないというニュアンスがあります。
この文法は、良いことを強調するときに使うことが多いです。
それから、話者の考え方、意見、判断につかわれますので、
客観的なことや事実に使うことはあまりありません。
例文をあげてみましょう。
「家族の支えがあったからこそ、病気を克服することができた。」
「大変な時だからこそ、一緒にがんばりましょう。」
「難しい試験だからこそ、受かった時は特別に嬉しかった。」
どうでしょうか。
話者が「この理由は特別だ」と強調しようとしているのが伝わってきましたか。
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それでは、「~ばこそ」の特徴についてみていきましょう。
基本的には、原因や理由の強調なのですが、
「普通は直接的な理由として考えにくい」ことをとりあげる事が多いです。
そして、後ろの文章には過去形、否定の表現を使いません。
例えば、「大切な子供であればこそ、親は厳しくしてしまうものだ。」
普通なら大切な子どもにはやさしくすると考えますよね。
ですが、将来困らないように今「敢えて厳しくする」というような文章に使われます。
次の例文の「悲しみを経験すればこそ、喜びの意味が分かるというものだ。」
これは、喜びを感じられるのは、悲しい経験をしたことがあるからだ。
つまり喜びの意味が分かるのは、悲しい経験をした場合だけだ、
というような強調になります。
そして「元気であればこそ、危険だと言われるスポーツにも挑戦できる。」
危険なスポーツに挑戦できるのは、元気な場合だけだという意味ですね。
もう少し例文を見て行きましょう。
「忙しければこそ、時間の使い方が上手になってくるものだ。」
忙しくて時間が限られている時には、特に時間の大切さがよくわかりますね。
そして、どのように時間を管理したらいいのかを真剣に考えますよね。
「お金に余裕がなければこそ、楽しむためのいいアイデアが生み出される。」
限られた条件の中では、
もっと努力する必要があるのでよりよい結果が出ることが多いですよね。
「愛していればこそ、嘘をつくこともあるだろう。」
嘘をつくことは基本的にはいいことではないんですが、
実際には「良い嘘」というものがあって、
大切な人に対してや、大切な場面では
「いい嘘」をついたほうがいいこともありますよね。
「海外にでればこそ、自分の国のことがよく見えてくるものだ。」
自分が今いる場所の素晴らしさや、ユニークなところは、そこから離れてみると、
もっとよく理解できるようになることがありますよね。
これは私自身も感じています。
さて、今日はここまでにしましょう。
「~からこそ」と「~ばこそ」の使い方をおぼえて会話で使っていってくださいね。
それでは、またオンラインレッスンでお会いしましょう。
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